行雲流水

No.615/ 2024年10月11日配信

 9月を夏に奪われ、秋が短くなって久しい近年、少し残念です。食欲の秋は美味しいものをどれだけ口に入れても「飽きない」と言われますが、「秋無い」になってしまったら、食いしん坊の私は早速困ってしまいます。今年こそ秋刀魚がしっかり獲れるのではとワクワクしていましたけど、そこまではうまくはいきません。何せ、この20年間で水揚げは10分の1に減っているのですから。

 細身の秋刀魚をスーパーから買って帰る途中、空を見上げると「うろこ雲」のような細かい雲が空に広がっていました。このような雲が現れると天気が変わるなどと言われますが、夏の危険に満ちた積乱雲よりもはるかに穏やかです。ただ、いつまでも姿を変えない雲などありません。行雲流水(こううんりゅうすい)、雨を呼ぶ前線がそこまで近づいてきているのかも。

 「行雲流水」。この四字熟語は11世紀の中国で書かれた文章の中にあると言われますが、現代では変わりゆく自然の流れに身を任せる生き方も有効なのだという意味で捉えられています。ストレスフルな現代だからこそ逆に、目の前の問題にも自我を立て過ぎずに、流れに任せる「丸い」解決法が求められているのかもしれません。そう、誰もが受け入れやすい自然な流れの。

 大分産のカボスと大根おろしを添えて、少しばかり迫力にかけた塩焼き秋刀魚をいただきました。10年前くらい前までは、まだ脂が乗って太った秋刀魚だったなあ、なんて恨み言を言わないで、ここは成り行きに任せて「今の姿」を前向きに楽しもうと思います。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」があるではありませんか。どんな秋刀魚の味も幸せにしてくれるお酒が。

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