食文化の日
No.617 2024年11月1日配信
11月3日は文化の日。「自由と平和を愛し、文化をすすめる(国民の祝日に関する法律)」ことを趣旨としているそうです。「文化」という響きは、書物だったり芸術の匂いを連想させますが、「自由と平和を愛し」ということも忘れてはならないと思います。しかし、食いしん坊の私にとっては、文化はやっぱり「食」にまつわるものになってしまいます。どうしようもない性格です。
我が家人の父親(私にとっての義父)が存命中の話ですが、舞台は唐津くんちで有名な唐津市での「食」にまつわる話です。唐津くんちは毎年11月2日の夜から11月4日まで行われる「唐津神社」の秋季例大祭です。歴史ある14台の曳山と美しい伝統色の法被が織りなす祭りの風景はとても感動的。そして、祭りの最中の「振る舞い」といわれるお客様へのもてなし料理がまた最高なのです。
父親は晩年、「一度くらいは大型アラを使った伝統料理をくんちで出してみたかった」と悔しそうに語りました。大型のアラを1尾丸ごと焼いたりできるような台所を持つ家はほとんどなく、料理屋に予め頼んで作ってもらうしかありませんでした。それに、結構な高額で、ホイホイと支払える額ではありません。私の記憶には、代わりに登場していた大きな鯛の塩釜焼きが残っています。
海に面する唐津という町の「食文化」は魚介になります。今は全国区の料理として有名になった「呼子のイカの姿造り」には何回もお世話になりましたが、呼子という町も今ではすでに唐津市に編入。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」をやりながら食文化を想うとき、私は父親が一度は実現させたかったという「大きなアラの一本料理」が今でも頭の中に登場します。うまいだろうなぁ。