なすがまま
No.251 / 2014年9月11日配信
野菜や果物もハウス栽培などの技術が進み、一年中収穫され、出荷される時代です。なすだってスーパーでは一年中見かけます。なすの旬は暑い時期で、本当は夏野菜(旧暦では秋野菜)だったはずです。意識の上では旬が消えつつあることも事実ですが、「秋なすは嫁に喰わすな」といったような機智にとんだ諺に、ふれることも少なくなってきたことが残念です。
諺はともかく、うちの嫁(家人)はこの季節になるとなす料理に精を出します。昔はほとんど焼きなすや味噌汁として食べていましたが、近年はオリーブオイルをつかった料理へとシフトしてきました。ストレートにオリーブオイルで炒めただけのものから、ズッキーニやゴーヤとのコラボ炒めも美味しいものです。なす入りピザはもちろん、なすのドライカレーなど大いに食欲を満たしてくれます。
先日も家庭菜園をやっている友人から、なすをもらったとニコニコしていました。思うところがあったので九州のなす生産量を調べてみました。すると、高知県に続いて熊本県が2位、福岡県が3位(平成22年農林水産省データ)と、わが家人のふるさとは日本有数の「なす」の栽培県なのです。家人のなす好きは案外、地域のDNAから生まれてきたものかもしれません。
栃木県那須農業共同組合のなすは「那須の美なす」と言うんだって。と家人に教えてあげると、それを聞くだけでなんだか嬉しそうです。そして、旬だからいっぱい食べなくっちゃね、と元気いっぱい。まあ、私の伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』好きと同じようなものかもしれませんので、なす料理が続いても文句は言えません。この時期の食卓は、もう家人の「なすがまま」です。