あんこう鍋
No.335 / 2017年1月11日配信
「西のふぐ鍋、東のあんこう鍋」と言われる冬の代表的な鍋料理。西のふぐ鍋と言われても、とらふぐの鍋はやっぱりそんなに何回もというわけにはいきません。ふぐの水揚げが多い地域に住む私の家庭でも、あんこう鍋の回数のほうが多いのです。近くの下関市はふぐ水揚げで有名ですが、あんこうの水揚げではなんと日本一を誇っているといいますし、それも納得です。
冬季のあんこうは水温が下がり身がしまり、春先の産卵期に向けて肝臓も大きくなり、今がまさに「あんこうの旬」です。海のフォアグラとも言われるあん肝はアンコウ鍋の味を高めるのに欠かせません。肝はDHAとEPAが魚介類の中でもトップクラスの含有量を誇り、栄養価が非常に高いそうです。旨味を増したあん肝入りのスープでいただく鍋は最高です。
ぬるっとした体表とグロテスクな姿。しかしその身は低脂肪で淡白な味わい。そんなあんこうはオスよりもメスの方が二回りも体が大きく、基本的には食用として市場に出回っているのはメスだということです。「ちっちゃなオスはメスの体表にしがみついて一生を終えるんだって」と娘がどこかで仕入れたウンチクを私に喋りかけます。
それは提灯あんこうのことだろ。今、食べているのは「キアンコウ」なんだよ。しがみついたまま一生を終えるなんて、縁起でもない。少しムッとして、オスの私はアンコウの切り身をポイと口に放り込んでしまいました。熱いままだったので舌もびっくり。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」の水割りをすぐに流し込みました。ふ?、お湯割りでなくてよかった。