温故知新
No.438 / 2019年11月11日配信
中学時代に漢文の授業で習った「論語」の記憶は曖昧ですが、温故知新という四文字熟語だけは記憶に残っています。その頃部活でショックを受けていた私に、隣の机の女生徒が「昔のことをしっかりと学ぶと、それがこれから先の新しい時代の役に立つのよ」と教えてくれたことがありました。授業中に先生が説明してくれた温故知新の意味のようです。
部活のバスケットボールで、同学年の生徒にレギュラーの座を奪われた私は、それが悔しくてたまりません。勉強嫌いに上乗せされて、もう漢文の授業どころではありませんでした。先生の声は右から左へと抜け、黒板に書かれた文字も全てはおぼろげです。頭の中では昨日あった部活の先生からの「明日の試合のスタメンを発表する」の声が虚に響いています。
部活の先生はスタメン発表の後、全員に向かって「今はレギュラーも控えもみんな頑張ってもっと力をつけなくてはならない時期だ。もちろん新しい技を習得するのも大切だけど、もう一度基礎体力をつけるとか、基本に目を向けた方が良い選手もいる」と付け加えました。それは細い体型のパワー不足だった私に向けた言葉のように感じられ、さらに沈んでいきました。
あの時、部活の先生の言葉に前向きに反応できなかった残念な少年時代でした。今、私が思う温故知新は漢文の授業のものではなく、部活の先生の「基本に帰る」という言葉に重なります。先生!あの時の補欠は成長し、基本を守り続ける立派な大人になりましたよ。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」の一杯という基本を忠実に守る大人に。ダメですかね、こんなの。