読書の秋に

No.5/2007年11月11日配信

 今年も冬至(12月22日)に向かって少しずつ夜が長くなっています。茜色の夕暮れ、真っ赤な太陽が地平線に近づいたと思ったら、すぐに落ちて姿を隠してしまいます。釣瓶がストンと井戸に落ちる様子から、秋の日入りの速さに慣用句として「つるべ落とし」が使われますね。そして、そのつるべ落としの後は長い夜が。

 夏には敬遠していたビリー・ホリディの引き摺るようなジャズボーカルが似合う晩秋の夜、手を付けていなかった一冊を取り出してみました。フランソワーズ・サガンが18歳のときに書き上げた処女作「悲しみよ こんにちわ」。その、すこし黄ばんだ文庫本をめくり読み進めると、バカンス地でこましゃくれた少女が大人達に仕掛ける危うい罠の世界にすぐにハマってしまいました。魅力的な小悪魔と絶賛された感性。その後、若い女性達からあこがれの視線を注がれたサガン。私が結婚前に妻からプレゼントされていた一冊でした。「あら、あら、そんな本読んでるの?」と声をかけられ、なんだか照れくさくなって「幸蔵」のロックをごくり。こんなシチュエーションにも違和感のないところが伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」の不思議なところです。人生ではじめて、「幸蔵」とフランス文学との相性を考えさせられた夜でした。

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