仲 間

No.402 / 2018年11月11日配信

 ビリー・ホリディのひしゃげた歌声が妙に馴染む季節です。彼女の声は心のひだに入り込み、沁みていきます。晩秋は明日を語るより、過去を想うことに適した季節。特にこの季節では、ジャズボーカルが記憶を呼び覚ますための大切なツールなのかもしれません。最近思い浮かばなかったことや輪郭が不鮮明だった事柄が、突然くっきりと姿を現してくるから不思議です。

 支店を改革するために派遣された「新・支店長」は私たち若手数人を前に、これから自分が行おうとしていくことを静かに、そしてその想いを熱く語り始めました。「お前たちは単なる歯車じゃないぞ。決められた時間内に、最大限の生産効率で、モノを造っていくような機械の一部ではないということだ。機械にはない大切なアイデアを生み出す心を持った人間なんだ」

 深夜残業が続き、すり減っていた神経に血が通う言葉が沁みたのを憶えています。「機械じゃないんだし、指図されるだけの人生って嫌だろ?自分で、自分達で何ができるのか考えて行動してほしい。分からなかったらなんでも相談してくれ。どんなことでもいいから。まあ、お前の嫁さん探しまでは責任持てんけど、しっかり話には乗るつもりだ。」ポンと肩を叩かれました。

 「カンパニーとは『仲間』だ。みんな心をしっかり寄せ合ってくれ。心が通じなくなったら会社も終わりだから」私にその昭和の香りが濃い「仲間」という言葉を残して逝ってしまった支店長。大丈夫です。「仲間」を大切にする心は無くしていません。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」だって、すぐに仲間に加えたし、とこれは冗談だけど安心してください。私はポンとお腹を叩きました。

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