舌は愛で育つ
No.400 / 2018年10月21日配信
世界で好評の「和食」は4つの特徴を持つ優れた食文化ということで、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。(1)多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重(2)栄養バランスに優れた健康的な食生活(3)自然の美しさや季節の移ろいの表現(4)正月などの年中行事との密接な関わり、が和食の特徴として挙げられています。(農林水産省HPより)
寿司は和食だろうけど、それではラーメンは?もつ鍋は和食?と、和食カテゴリーに入るかどうか判断に窮する料理もありますが、ここでは文化として認められるかどうかが判断の基準です。そんな基準も楽にクリアする味噌(汁)ですが、我が家ではたまにメーカーを変えて購入。その味噌は家人が育った家の隣の工場でつくられているもので、昔馴染みの味だそうです。
家人には懐かしい味で満足そうですが、私の舌にはそれまで使っていたブランド味噌の方が美味しく感じられます。そのように、同じ九州の甘口の味噌とはいえ、風味も含めて味わいは微妙に違うものです。製造工程?原材料の産地の違い?いえいえ、幼い頃からその地域の味噌を使った「母の味」が、人の味覚の基準に大きな影響を与えていることを忘れてはいけません。
私にとっての和食とは?それは最初に述べた4つの特徴に、地域で、家庭で「愛情とともに」受け継がれてきた年月の味という特徴も加えたもの。愛情は間違いなく人の舌を育て、人生を豊かに彩ります。昔ながらの仕込みにこだわり続ける伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を私が愛する理由も、そこにあるのかもしれません。そう、母の作った味噌汁のように。