ブルージュ

No.394 / 2018年8月21日配信

 サッカーのワールドカップでは震えるようなベルギー戦でしたが、独身時代の夏、実は私もベルギーのブルージュという街で小さな震えるような瞬間と巡りあうことに。ブルージュは中世の街並をそのまま残し、ノスタルジックな風情が街を覆っています。日本における京都の様なその街は、基本は石造りの街なのに、決して無機質には見えない暖かみを感じます。

 装飾が施された歴史的な建物と張り巡らされた緑の水のロマンチックな運河。今度来るときには新婚旅行だな、と独り言。その瞬間「あの、日本のかたですか?」と久しぶりに聞く日本語。立ち止まると、そこには一人の日本人旅行者。自分と同じバックパッカースタイルの女性です。「実はアムステルダムからの列車の中で、日本人の方から声をかけられまして」。

 「『日本から一緒だった相棒とはぐれてしまって。相棒は青いバックパックに黒のキャップですが、そんな男を見かけませんでしたか?』と、それで、あなたではないかと」。それぞれ好きな様に旅行しようと、きっぱりと二人旅に別れたつもりでしたが、相棒はそこまで本気で言ったのではなく、それは私の勝手な思い込みだったのでしょう。ショックが身体を突き抜けました。

 私がその「友人のメッセージを携えた」女性と出会う確率は、サムライブルーの日本チームが世界ランキング3位のベルギーチームに勝つ確率よりもずっと低いと思うのですが…。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を飲みながら、その奇跡に近い出来事に笑ってしまいます。そしてもう時効だけど、迷惑を掛けた友人に深謝。お互い、忘れられない旅になったことは確かです。

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