ふぐ刺し

No.367 / 2017年11月21日配信

 天然物と養殖ものでは「やっぱり味に差が出るよ」と食通の友人が口を開きます。天然物は運動量が多くて、身が固く締まり、刺身にしても美味しさが違うと言います。これまで両手の指があれば数えられるだけの体験しかない私です。確かに言われてみれば、養殖ものの肉質の方が柔らかいと言えるかもしれませんが、味の微妙なところまではわかりません。

 先日、郊外の「魚をメインに扱う」直売所で頭と内臓を落とした「刺身用ふぐ1尾」を発見しました。もちろん皮は剥いであります。これまでは、近所の大手スーパーの「プラスチックの皿に薄く放射状に広げられた」薄づくりしか見たことがありませんでした。今回のものは長さが22~3センチ、三枚おろしが必要で、買っておいた出刃包丁がやっと活躍できそうです。

 それは養殖とらふぐでした。養殖フグの水揚げ量の都道府県ランキングではトップ3が九州で、1位は長崎県です(平成27年度)。近県に拍手!少年体形の養殖ものとはいえ、とらふぐはとらふぐ。その680円という価格にノックアウトされ、即購入。極細ネギともみじおろし・ポン酢も購入、早くも「日本人でよかった」感が脳をおかし始めるじゃあありませんか。

 自分の「薄切りの技術」を自画自賛しながら白磁の唐津焼に盛りつけ開始。期待感は膨らみ、唾液腺はひどく緩んでいくのです。少し濃いめの伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」をロックグラスに用意して、さあ始まり始まり。小遣いが少ない時でもふぐ刺しが食べられる幸せを噛み締めながら、九州の豊かな食の環境に感謝。刺身でネギをくるりと巻いて「あ?天国」。

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