とんこつラーメン

No.366 / 2017年11月11日配信

 訪日外国人客がラーメン屋を目指すシーンも増えています。その多くが、とんこつラーメンのあのこってりした味わいに夢中になるそうです。ロンドンから流れてくる情報ではやっぱり人気はとんこつラーメン。ニューヨークだってやっぱりとんこつスープでしょう。本当に世界中で有名になったものです。我が故郷はとんこつラーメンの発祥地なので、嬉しい気もします。

 当時17歳の私たちの腹はまるでモンスター級の消化能力を備えていました。さらに早弁のせいもあって、放課後にはもう腹ペコです。家に帰れば晩ごはんもすぐなのに、耐えられそうにありません。私たちは100円玉を1枚手にして帰り道にある「大龍」というラーメン屋に立ち寄ったものです。ラーメン屋はもちろん「とんこつ」ラーメン屋のことです。

 カウンターの中の大きな寸胴鍋からは湯気とともに豚骨スープの独特な癖のある匂いが立ち上っています。私は「素ラーメン」を硬めんで注文すると、亭主はニヤリと笑って「替え玉も食べるっちゃろ?」と応えます。焼き豚なしの「素ラーメン」のトッピングはメンマとネギだけ。どっさりと無料の紅生姜を入れ、すりごまと白胡椒を振りかけ、一心不乱にすすります。

 「家に帰って、晩ごはんも食べるとやろ?」と、亭主は何度も私に聞いたものです。卒業式の日、帰りにラーメン屋に寄ると、注文もしないのに焼き豚がたっぷり乗った「叉焼麺」が出てきました。しかも大盛り用の丼で。「卒業式やったろ、おまけたい」伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」が美味しい夜、そんなラーメン屋での温かい「亭主の心」の記憶が蘇ります。

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