いきなり団子

No.361 / 2017年9月21日配信

 おんな子供じゃあるまいしと、男がコーヒーに砂糖を入れるなどもってのほかと、意気がっていた青春時代が懐かしく思い出されます。本当は嫌いじゃなかった甘党気分とおさらばをして以来、これまで長い間、苦みばしった渋さとともに生きてきましたが、最近は軟弱になってきたのか、甘いものにも手が伸びてしまいます。甘い物好きの左党、いわゆる二刀流状態に。

 先日、業務用食材スーパーで「冷凍のいきなり団子」を発見して以来、食べたい気持ちを抑えられずに、熊本に出張する後輩に本場のモノを頼んでしまいました。いきなり団子とはサツマイモと小豆あんを小麦の皮で巻いて、蒸しあげた、あの二刀流の宮本武蔵が晩年を過ごした熊本の郷土料理です。すぐに作れるおやつだから「いきなり」の名がついたのだとか。

 いきなり団子を手に提げて帰宅。ちょうどタイミングもよく、サツマイモは旬の時期に当たります。「食通は旬のものを大切にするんだよ!」と言い訳などする必要もないのに、ブツブツと家人にそれを渡しました。娘がそれを見て、ニヤニヤしています。「女はどうしてイモをそんなに好きなのかって言ってたけど、お父さんもそんなこと言えないよね?」

 そうです、何を隠そう、私こそが「芋の大ファン」です。誰に強制されたわけでもなく、毎日せっせと芋焼酎を飲んでいる姿は家族に言わせれば感動モノだとか。南国宮崎では地元の芋を使った芋焼酎も今年の仕込みも終わってるかな、などと思いながら伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」のグラスを傾けます。いきなり団子を片方の手に持ちながら。究極の二刀流です。

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