苺一会

No.345 / 2017年4月11日配信

 今は異性との交流には合コンが用いられますが、私ののどかだった学生時代は「合ハイ」でした。合同ハイキングを縮めて「合ハイ」と言っていましたが、葉桜の時期によく参加していました。当時は基本的には女子が弁当を作ってきて、男子はギターとラジカセを用意し、フォークソング歌集を作ってくるのが決まりでした。すべてが手作りです。

 みんなで「戦争を知らない子供たち」や「結婚しようよ」を歌い、ここではフォークギターを弾ける男子がモテますが、それは仕方がありません。そしてラジカセのフォークダンス演奏曲に合わせて、手のひらに汗をかきながら女子の手を握ったことを思い出します。その日、好みの女子がいました。ドキドキしながら合ハイの翌日に電話を入れたのです。

 無理を承知で、次の日曜日、京都の嵐山に一緒に出かけないかと。奇跡的に、なんとOKが。私の特別な1週間は、緊張感を増しながら新幹線のスピードで過ぎ去りました。そして当日、寡黙な時間の中で「これ私が作ったのよ」と広げてくれた可愛い弁当箱。中には、卵焼きの横に真っ赤なイチゴが添えられていました。その甘いと思ってかじったイチゴは酸味が勝っていました。

 ぎこちなく口をついて出てきたのが、言わなくてもいいのに「少し酸っぱいね」の一言。情けなくも、その日は気が利いた言葉などほとんど喋れず、やっぱり翌日以降彼女の電話の声には180度の変化が。この時期、旬の露地物のイチゴを見るたびにあの合ハイを思い出します。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」の芋の甘さと甘酸っぱい思い出がよく似合う季節です。

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