下駄箱の思い出
No.340 / 2017年3月1日配信
「女子中高生が卒業式にもらいたいもの」は第2ボタンが7割以上で圧倒的な第1位という調査結果が出ていました。ケータイ番号を教えてもらうという人は多く、現代では当たり前でしょうが、それに次いで「手紙」という回答があったのには驚きます。私の認識が古いのか、手紙はもう過去のものだとばかり思っていましたが、今でも手紙は生きているのですね。
私の中高時代はケータイなど考えもつかない時代だったので、コミュニケーション・ツールとしては「手紙」が一般的でした。直接異性に気持ちを伝えることは、その当時の思春期の少年少女にとっては、清水の舞台から飛び降りることと同じだったはずなのに、なぜか女生徒からの「手紙」は少なくありませんでした。女性には昔から心を伝える事の重要性が理解できていたのですね。
私は高校の卒業式を目前に控えた週に、一人の女生徒から下駄箱の前で呼び止められました。以前、バレンタインデーの日、自分の下駄箱の中に手紙が入れられていて、ドキドキした経験がありました。ある意味、下駄箱は青春の記念すべき大切な場所なのです。私を呼び止めた女生徒は隣のクラスの生徒で、私も見た事はありました。急に胸が高鳴ります。
「あの、9組の人ですよね。これを田中君に渡してほしいのですけど」と洋封筒の手紙。残念と思うよりもっと複雑な思いで受け取りました。田中にはすでに付き合っている人がいたからです。手紙を手にした女生徒の気持ちを思うと、とても切なくなります。こんな下駄箱ドラマを想う3月は、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」で、さあ、もうひと浸り。