花かつお

No.309 / 2016年4月21日配信

 「腎臓の機能も、若い時の30%くらいしかありませんね。ほら、こんなに縮んでいるでしょ」とX線画像を見ながら獣医師さんが説明してくれました。私と家人は土曜日の朝、弱り切った猫をペット病院に連れて行きました。ゲェっと吐いて以来、それ以来好きだった餌も全く食べなくなり、いろいろ変えてみてもダメで、みるみる衰弱してしまいました。

 もうすぐ15歳になる猫は、人間に例えれば80?90歳の老人と同じかもしれません。「どうされますか?」と治療のコースメニューを案内してくれる先生の質問に迷いました。無理やり薬や手術で命を延ばすことが良いのか、それともそのまま自然なままに見守るのが良いのか。情けないことに、治療費の高さも判断に影響を与えます。

 診察台の上で踏ん張っている猫の細い足を見てるうちに涙が出てきました。長生きできなくてもいいから、もう一度、1回だけでも元気に餌を食べさせてあげたいと、鼻声でお願いしました。猫の点滴注射をしてもらい、一緒に帰宅しました。しかし帰宅後、翌日もほとんど食べてはくれません。家人が何度もシリンジで餌を流し込もうとしても。もうだめかな。

 骨ばかりの身体をさすった後、もしやと思い、昔好きだった花かつおを鼻先に持っていくと、なんと食べる意欲を示したではありませんか。「あっ、食べた」と娘が喜びの声をあげました。希望が生まれ、その夜私もやっと、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を飲む気に。私も湯豆腐に花かつおをふりかけました。やっぱり最後まで諦めないことです。今年の1月、あの大寒波が襲った週のことでした。

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