サルものは追わず

No.298 / 2016年1月1日配信

 機敏な動きで木々の中を渡る猿は、ひょっとしたら十二支の中で一番頭の回転が速く、一気に行動を起こせる勘の良さを持っているのではないでしょうか。人間社会と違った厳しい自然環境の中で安全に生きていくためには、種の存続にもかかわる判断が重要になってくるし、それも敏速なものでないと駄目かもしれません。

 先輩の中に、目標としたい人が職場にいました。とにかく仕事が速く、私がやっとひとつの課題を仕上げたと思ったら、その先輩はもう2つ目を仕上げる段階にまで進んでいるのです。昔から日本のホワイトカラーの仕事効率の悪さが言われていましたが、先輩のチームだけを考えれば、そんな日本の効率のことは笑い話になっていたでしょう。

 その人は「申年(さるどし)」生まれでした。社内・社外を問わず人気がありましたが、その理由は仕事のスピードだけではなく、相手の気持ちを瞬時に理解して対応できる能力も大きかったと思います。先天的にその場の空気を読み取り、みんなをリラックスさせるギャグ力もそうでした。一発でその場が明るく変化したものです。

 そして、他人ほど自分の成功体験や利益に固執せず、性格は妙にさっぱりとしていました。案外、そこが一番すごかったのかもしれません。サルものは追わずです。申年の先輩を思いながら、今年も伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」で始めますが、しかし「幸蔵」だけは今年もしつこく追い続けるつもりです。

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