しもやけの頃

No.264 / 2015年1月21日配信

 近所に小学校があるので、登校途中の生徒を必ず目にします。みんな元気そうに、寒い中をふざけ合っている姿も見られ、やっぱり子供らしさは昔から変わらないようです。しかしよく目を凝らすと私の幼い頃とは何かが違うような気がするのです。もちろん通学ファッションは大きく変化しましたが、それ以上に顔と手の健康状況が私たちの時代からは大きく変わっているようです。

 「はなたれ小僧」はもう死語なのでしょうか。私の幼い頃必ず、クラスの中には鼻の下によくレールを2本つくっている生徒がいました。それに、私もそうでしたが、手の指を赤く腫らしていつも痒い指を掻いていました。冬は今よりもっと寒かったし、栄養状態も豊かでない時代だったし、九州とはいえしもやけになる子供はたくさんいました。

 小学1年生の時だったと思うのですが、一時間目の授業に入る前、女の先生が「さあ、手のひらでしっかり擦りましょう」と呼びかけ、みんなで一緒に手の甲を擦っていました。私の腫れて、掻いた後に血がにじんでいる冷たい指を見て、先生が両手で包むように握ってくれたことがありました。気恥ずかしかったけれど、とても温い思い出です。

 へえ~、恥ずかしかったなんて、そんなピュアな時代があったのですね、と職場の若い女性が笑います。そして「しもやけには、ビタミンEが良いらしいですよ。アーモンド、一日20粒もあれば大丈夫です」と私にレクチャー。その夜に伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』と語りあいます。あの頃は経済的には豊かじゃなかったけれど、温かだったなあ、と今夜ももちろんお湯割りです。

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