はいチーズ
No.224 / 2013年12月11日配信
師走も進み、街なかはジングルベルが流れ、クリスマスのイルミネーションが心を掻き立ててくれます。最近は会社帰りに地下鉄駅までの道のりを、イルミネーションが綺麗な通り経由で遠回り。その日「ウマくいかなかったこと」だって、キラめく光が忘れさせてくれます。百貨店のクリスマスツリーの前で若い女性がVサインを作っています。はいチーズ。
ふと、学生時代のクリスマスが甦ってきます。町の灯りがネオンサインと豆電球だった頃のこと。ドキドキしながら待ったクラスのクリスマスパーティ。目当ての娘もやってくるのです。悩みに悩んだ交換プレゼント選び。アパートの親友に新しい上着を借り、勇んで出かけたものの、目当ての娘はライバルの男とカメラの前ではいチーズ。
なにが、「はいチーズだ」。パーティが終わると、頭に来るより先にモーレツな虚無感に襲われてしまい、ふらふらとアパートに帰っていった記憶が。これならブルークリスマスのほうがずっとマシだ。上着を返しに友人の部屋に行くと、まるでその日の出来事を見抜いていたかのように、友人はニヤッと笑って「じゃぁ、飲みなおそうか」。
我が娘に尋ねました。「お前達も、写真写るとき『はいチーズ』って言うの?」。「そうよ」。「はいチーズ」は1960年代のTVコマーシャルがきっかけで広まったといいますが、私は1979年以来、使ったことがありません。焼酎は伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』、そして「はいチーズ」は絶対に言わない主義。私の頑固さは変ですか?