味の芸術
No.221 / 2013年11月11日配信
芸術の秋はもちろん食欲の秋でもあります。というより、やっぱり「食い気」が先に立つ季節ですね。郊外のショッピングセンターに出かけた際は、手づくり豆腐専門店を必ずチェックします。女性客に混じり、「豆乳を使った魚のすり身天ぷら」や「おぼろ豆腐」などをじっくりと眺めます。今夜の晩酌タイムを豊かにする為に。
「お客さん、今日は『おから』要りませんか?」と声をかけられた開店15分後。なにか買い物すると、まだ温かみが残るおからを好きなだけ持って帰れるシステムです。「今日はいいよ」と苦笑いをしながら断ります。前回もらったおからがまだ冷凍庫に休眠中。おから料理はすべて家人のヤル気しだいです。成り行きにまかせる他はありません。
パックに詰められた売り場の湯葉が私を誘惑します。精進料理の王道を歩んできた湯葉は、最初に比叡山の天台宗総本山の延暦寺に伝わったとされています。歴史と伝統に裏付けされた味わいは、私に繊細さの素晴らしさを教えてくれました。静かに更けゆく秋の夕餉をしっかりと「味の芸術」で楽しみたくなります。
少し値が張るけれど、ウ~ン思い切って。「思い切って」とか、食いしん坊のわりには案外と私は小心者かもしれません。大豆の植物性蛋白質を凝固させた、日本が誇る食材と今夜は一緒出来るのです。待ちきれない想いを胸に、自宅への車のアクセルをふかします。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』もきっと相性の良さを喜んでくれるでしょう。