立 秋

No.175 / 2012年8月1日配信

「今日から、得意先に出す暑中見舞いは『残暑見舞い』になります。くれぐれも間違えんように!」私がまだ入社したての頃、上司が朝礼の時にしゃべっていたのを思い出します。今は暑中見舞いの葉書は昔ほど出しませんが、立秋を境に「残暑見舞い」に変えるといった、季節を記す日本人の感性は今でも良いなと思います。

 母親に買ってもらった大切な官製はがきにクレヨンで朝顔の花を描き、大好きだったクラスの娘に暑中見舞いを出しました。年賀状をもらったお礼の返事が半年後の暑中見舞いだったわけです。難しい「暑中見舞い」という漢字が不規則におどっているはがきを見て、「よくできたわね」と母は小2だった私の頭をなでてくれました。

 「へ~、お父さんにも可愛い頃があったんだ」と、私の暑中見舞いの話に娘が反応します。「朝顔の花を描いている姿なんか想像できないわね」と家人がツッコミます。「あぁ、ケータイやパソコンもない、のどかで良い時代だったよ。俺みたいな純粋な良い子ばっかりでな」「それにしても、今は少しばかり捻くれすぎていない?」と娘が余計なことを言います。

 立秋は全く手がつけられていない夏休みの友や絵日記の存在が気になり始めるころ。そして、今でも夢に出てくる立秋の頃の小さな焦り。今年もまた、衰えを感じさせない夏の中で、氷を浮かべた伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』と一緒に、朝顔の暑中見舞いや宿題の記憶を辿ります。昔は、私が生まれた九州でも立秋後のお盆を迎える頃にはもう朝晩がヒンヤリとしていたものです。早く涼しくならないかな。

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