もずく酢
No.172 / 2012年7月1日配信
つるつる、ぬるぬる、チョッピリ酸っぱい。ローカロリーでヘルシー。話題の成分「フコイダン」も含んで、とても健康に良いといわれる「もずく」ですが、入社後、酒席で出る「もずく酢」を知るまでは、個人的にはあまり縁の無いものでした。肉や魚が大好きだった若い頃、私の中では、栄養(カロリー)がないとされていたコンニャク同様のかわいそうな扱いでした。
「夏はやっぱりもずく酢だな」と小料理屋のカウンターで突出しの小鉢を見ながら、会社の先輩は言いました。「本来は春が旬だって言うけど、やっぱりもずく酢のイメージは夏ですよね」と、女将さんが相槌を打ちます。「今日の会議で言ったこと、あれ、少しヤバかったかな?」と私に言って、先輩は苦い笑いを浮かべながら、ツルツルっともずくを口に入れました。
もう、リストラは特別なことではありません。業績が立て直せないと判断されたら、さっそく業務の内容を変えるか、不要になった人員の整理をしたいと考えるのがマネジメントの基本。甘くない時代です。永年、続いて来た大きな取引先の仕事がなくなりました。事情もあり、もうその仕事は永久に戻って来ないでしょう。先輩は最後の会議で、会社の方針に小さな抗議の声を上げたのです。
「もう少しで定年退職だったのに、最後にこけちゃったなぁ、つるっと」と、担当者だった先輩は片目をつぶってみせました。「いやぁ、これからですよ人生は。きっと、もずくのフコイダンみたいに効いてきますよ、先輩の努力は。真面目にコツコツやって来たんだから」と応援のセリフ。今夜ももずく酢の小鉢から、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』のアツイ夜が始まります。