いっさき

No.171 / 2012年6月21日配信

 イサキのことを九州では「いっさき」と呼んだりします。初夏~梅雨頃に旬を迎え、その繊細な白みの味わいは、刺身で食べたり、焼いたり煮付けでといろいろな調理法で美味しくいただけます。家人もこの時期になると、時々、私の好物であるイサキの煮付けを食卓に出してくれます。煮詰めた醤油と針生姜で味わうイサキは最高です。

 また、夏のイサキは私のようなヘボ釣り師にとっては、ありがたい魚でもあります。数年前に仲間数人で船釣りへ出掛けました。「船釣りなら、魚のいるところまで船で連れて行ってくれるから坊主ということもないだろうし」と、食い意地だけが張った私たちです。船酔いで一人がダウンしたものの、執念深くリミット時間一杯まで釣りました。

 その成果は上々。「いっさきは大きい方がうまいけんね」と言いながら、船長が釣れたイサキを甲板のいけすから取り出しながら、一尾づつ活き締めしてくれます。40センチ級を数尾、鯵の混じった分け前をクーラーバッグ一杯に詰めて意気揚々と凱旋帰宅。いつもは味わえない戦勝気分です。「一番大きい奴をあげよう」と、マンションの隣の住人に内臓・うろこを処理して差し上げました。

 「一番先に夏を知らせてくれる魚ですよね、『いっさき』って」と、隣の年配の奥さんはとてもありがたいモノを、と私に頭を何度も下げました。マンション生活もこんな小さなやり取りで血が通います。その夜は、活け締めした大型イサキの刺身が、こんなに美味しいものかと大感激。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』も大活躍の夜でした。

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