グッド・モーニング
No.164 / 2012年4月11日配信
ブラインド越しの白い朝日がテーブルに、光の縞模様を柔らかく描いています。ドリップし終えたコーヒーカップからは香りが立ち上がり、鼻孔をくすぐります。スクランブルエッグに焼いたソーセージ。シャキッとみずみずしい生野菜のサラダとオレンジジュース。焦げ目のついたトーストの表面で溶け出すバターの風味が朝を幸せにしてくれます。
独身時代、夢にまで現れたことのある「新婚生活の朝食」はなぜか、洋風スタイルでした。畳の上で座って頂く食事ではなくて、ダイニングテーブルで椅子に腰掛けての食事スタイルです。今では当たり前のことですが、その頃はフローリングに憧れを持っている人も多く、「洋風」へのあこがれには凄まじいものがありました。味噌汁好きなこの私が「洋朝食」の夢を見るくらいでしたから。
しかし朝食における現実の問題は「洋」か「和」ではなくて、「食べているかどうか」ということです。相変わらず朝食欠食率の高いのが独身男性です。20代男性の約3割が朝食抜きで、「夜更かしで朝の時間が持てない」「昔から食べる習慣がない」「作るのが面倒くさい」が大きな理由だそうです。朝食大好き派の私としてはとても残念です。
朝の食卓にめざしを焼いた匂いが漂っています。もう、新婚時代のような白い器のイメージの食卓ではありません。「キライじゃないけど、ちょっと渋すぎると思わない?うちの食卓は」と娘の言葉には不満未満の微妙な感情が見え隠れ。「『和』って、スマートでとってもクールなんだぜ!」と私は娘をたしなめます。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』に教わった哲学かもしれません。