立 冬

No.112 / 2010年11月1日配信

 11月7日は立冬です。近年は暑さの収まる時期がだんだん遅くなり、私の住む九州では「10月中は半袖で過ごしたよ」という「暑がり」の友人もいました。秋特有の抜けるような青空と澄んだ空気。やっと美味しいもの満載の「食欲の秋」も佳境に入ると思ったら、もう立冬。「大好きな秋」を実感できる時間が、本当に短くなったものです。

 11月は陰暦名で「霜月」と呼ばれていました。実に風流で、端的に時季をあらわしている良い名前です。立冬や霜月などの名前は、私たちの暮らしが古くから自然の営みと密接に結びついていたことを感じさせてくれます。私は幼い頃、毎年母が用意してくれた手編みの「毛糸」のセーターに、その年初めて袖を通す「11月」が大好きでした。

 「あなた、立冬の日は『おせんべいやあられの日』っていうの、知ってますか?」そういえば、去年どこかのチラシに書いてあったような気がします。「煎餅でも買っておきましょうか?」「あ~、あの、あられをチョコレートでくるんだやつ、あれ美味しかったけど」「でも、期間限定って書いてあったので、今は無いかもしれませんね? 確か、バレンタインの時だったから」

 休日の夕刻、つるべ落としの落陽を眺めながら「幸蔵」のお湯割りを傾けます。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を飲んでいると、チョコあられが頭に浮かびましたが、やっぱり11月は手編みのセーターの思い出にはかないません。母が編んでくれたあの毛糸のセーターは本当に温かだったと、「幸蔵」は「霜月」のそんな記憶を優しく呼び起こさせてくれます。

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