冷や奴

No.103 / 2010年8月1日配信

 昔から、夏は夏らしく暑くならなければ、景気も良くはならないといわれてきました。気温も低めで、日照時間に恵まれなかった昨年と違って、この夏の気温はうなぎ上りの連続です。夏らしい夏が訪れたので、きっと消費に火をつけてくれると信じます。ようやく景気も持ち直しかけているところなので、さらにこの「酷暑」が様々な売り上げに貢献してくれるコトを望まずにはおれません。

昼間にたっぷりと太陽の日差しを浴びた夜、優しく涼やかに食卓で私を待ってくれるのが冷たい豆腐、そう、「冷や奴」です。夏は冷や奴で、冬は鍋で私の半生を支えてくれた豆腐には感謝せざるを得ません。身体の組織をキチンと作り上げてくれた植物性タンパク質。バイト代で生計を立てた学生時代をはさんで、家計の手助けをずっと続けてくれたその価値ある経済性。豆腐という食品を誕生させた人に心を込めて拍手です。

 食べ方はあくまでもシンプル。四等分された立方体の豆腐の上に削り節をのせた後、醤油をたらしてツルリと頂くだけです。「お父さんはいつもワンパターンなんだから。料理レシピのサイトには、トッピング例がたくさんあるので、見てみたら?」と、娘が私に知恵を授けようとしてくれます。「生姜、ザーサイ、キムチも美味しいし、ラー油やオリーブ油をかけても美味しいよ」

 娘よ、ありがとう。おそらくどれも美味しく豆腐を食べることは出来るだろう。面白い味に出会えると、話の種にもなるし、悪くはないと思う。しかし、昔ながらの食べ方を止めると、「頑張ったあのころ」の「本当に美味しかったもの」を忘れてしまいそうな気がするんだよね。君が、孫を連れて遊びに来るようになっても、さらにその子が結婚する時期になっても、私はこの食べ方を続けているだろうよ、きっと。夏は伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」とシンプルな冷や奴に限る。親のこんな生き方、嫌かい?

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