肉じゃが

No.94 / 2010年5月1日配信

 家人に頼まれて、仕事帰りにスーパーマーケットへ立ち寄りました。頼まれていた調味料を買った後、野菜売り場を通ると春の新ジャガが積まれています。そのコロコロとした小さな「メークイン」が、私に向かってニコニコと微笑みかけてくるようです。美味しそうな「肉じゃが」が脳裏をかすめるし、たまらなくなって私はすぐにじゃがいも2袋をカゴに入れてレジへと向かいました。

 独身時代、私を結婚へと踏み切らせた大きな理由の一つが「肉じゃが」でした。「肉じゃが」はもちろんその当時も、男の好きな一品として必ず上位にランクインしていました。美味しさとともにお袋の優しさも想いだすことができる、男泣かせの代表料理だったからです。外食が続く独身の食生活に割って入ってくる、彼女手作りの温かい「肉じゃが」こそ、最強の料理だといっても過言ではないと思います。

 彼女が作ってくれた「肉じゃが」は、少年時代に味わっていた「肉じゃが」とは味も見栄えも違いました。最も違っていたのは、挽肉が使われていなかったことです。きちんと柔らかい上等の薄切り牛肉が使われ、さらに彩りを添えるグリーンピースもちりばめられていました。とても華やかな印象を与えてくれた彼女のものに較べ、母の「肉じゃが」は質素すぎましたが、それでも記憶に残る美味しさだけは今でも鮮明です。

 「今度の肉じゃがは、牛挽肉を使ってくれよ」と、新ジャガを買った夜に家人へ頼みました。「本当に良いんですか挽肉で?」と首をひねる家人の不思議そうな顔。近づく母の日。さらに「肉じゃが」が食べたくなりました。今年は伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」も、その挽肉の「肉じゃが」の登場を心待ちにしてくれているような、そんな気がします。

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