弁 当

No.91 / 2010年4月1日配信

 弁当を持って出社する人が増えてきました。以前は一部の女性社員だけだったのに、今は「弁当男子」とか呼ばれる男性も多いですね。世の男性は「草食男子」に続き、また一つ「優しい呼び名」をもらったわけです。「ワシ、装飾男子やけんね」「せっそうは、僧職男子バイ」とか「ソーショク系」の男子もいろいろいるけど、「草食系」が一番、現代の匂いがします。

 先日、街のお洒落な雑貨店では「弁当フェア」を開催中。カラフルで楽しいものから、「なにもここまで」と思わせるほどの機能が付いた弁当箱まで、ずらりと並んでいます。よほどしっかりした気持ちを持って選択に臨まないと、きっとデザインの海に溺れてしまいますね。私の中学時代にはアルマイトのドカベンしかなかったので、選ぶ必要などありませんでした。まあ、現代は良くも悪くも大変な時代だと思います。

 「煙や煤が入るので、窓を閉めときなさい。早くしなさい、もうすぐトンネルだから」と父が言いました。窓際に座っていた私は、列車の重い木枠窓を閉めようと頑張りますが、かたくて上手く閉まりません。小さな私にはやっぱり無理でした。トンネルに入る前に汽笛が鳴ったような不確かな記憶が残っています。兄が「俺がやる」と言って頑張りましたがタイムアウト。煙と煤に見舞われました。 「お前が、早く代わらんけん、だめやったたい」と、兄は私の頭をげんこつで「ごつん!」。

 泣きべそをかいている私に、母が折り箱の弁当から手作りのおにぎりを出してくれました。蒸気機関車にはなんとか乗れても、高価な駅弁は我慢した時代の話です。4月10日は駅弁の日。駅弁くらいは買える財布を持てるようになりましたが、今度は旅の列車に乗れる暇がありません。どこかで駅弁フェア、やってないかな? 伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」の一升瓶が私をじっと見つめています。よっしゃ~、今年こそは列車の旅だ!

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