毒キノコ
No.74 / 2009年10月11日配信
「免疫機能を強化する成分が入っているんだって。それに低カロリーだし」と、家人が数年前に健康雑誌の記事を読んで以来、我が家の食卓に登場する機会が増えたきのこ類。人工栽培きのこが一年中出回っているので、ポピュラーなものはいつでも都合よく手に入ります。それでもやっぱり旬は秋。スーパーや八百屋さんの店頭で、この季節の贈り物として、きのこ類の存在感は確実に増しています。
秋サバや活サンマの登場ほど劇的ではないものの、それでもきのこ類がじわっと売り場に溢れてくると、それだけでとても幸せな気分になります。松茸・しいたけ・しめじ・えのきだけ・なめこ・エリンギ・マッシュルーム・舞茸。帰宅途中のスーパーで思わず立ち止まり、その中の一点にうっとりと見入る私がいます。高嶺の花、きのこの王者。う~ん、叶わぬ夢は今年も松茸の土瓶蒸しです。
そういえば小学3年生の頃、赤ら顔でぽつぽつと斑点のある仲の良い友人が「ベニテング茸」とか「毒キノコ」などと呼ばれていました。友人はその渾名が好きではなかったようです。そりゃ「毒キノコ」なんて呼ばれたら、子供心にだって面白いはずはありません。放課後の帰り道、私と二人ではやし立てるクラスメイトに小石で応戦したことを想い出します。
豊穣の季節。我が家は鉄板上でたくさんの種類を焼いて楽しむ「きのこ祭り」のシーズンに突入。独特の香りや味わい、そして旨さを増幅させる歯触り。バターや醤油の焦げる匂いが食卓を包みます。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」も出番を喜んでいるようです。あの「毒キノコ」君はどうしているかなぁ。まだ赤い顔をしているかしら?3杯目の幸蔵に突入した私の顔みたいに。