クリスマスの思い出

No.44 / 2008年12月11日配信

 街のデパートやファッションビルには大きなクリスマスツリーが飾られ、街路樹もLEDライトの光で綺麗に化粧されています。街に光が満ち溢れ、道行く人の表情も明るく輝く季節です。手をつなぐ笑顔の恋人たち。ツリーの前で子供の写真を撮っているお母さん。幸せな情景につい立ち止まってしまいます。

 ビング・クロスビーのクリスマスソングがゆったりとラジオから流れ、ケーキを食べることが出来る日がクリスマスだと勘違いをしていた遠い日々。「うちはキリスト教じゃないから、靴下をぶら下げてもサンタクロースは来ないのよ。正月のお年玉を待ちなさい」と、母に諭されて、残念な思いでいっぱいだった小学二年の12月。

 親が何でも買ってくれる家庭状況にないことは、幼心で分かっていても、残念な気持ちは拭いきれません。プレゼントを持ったサンタが毎年来るという友達。お母さんがケーキを焼いてくれるというハイカラな家の友達。まぶしく見える友達たちに嫉妬を覚えながらも、溶けにくいバタークリームのケーキを兄弟と競って食べたものです。25日の閉店間際に安くしてくれる、近所のパン屋さんの小さなクリスマスケーキを。

 窓の磨りガラスを通して、明るい反射光が差し込む寒い雪の朝。私の枕元には、銀玉が発射できるプラスチック製のピストルが置いてありました。目を疑ったクリスマスの朝。台所からはみそ汁に入れる菜っ葉を刻む包丁の音が、いつものように暖かく聞こえていました。怒られることばかりだったけど、最後に優しさを用意してくれていた母。12月、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」の温かい湯気が、懐かしい記憶を紡ぎだしてくれます。

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