早春の蛤(はまぐり)
No.16 / 2008年3月1日配信
宮崎県の日向灘は「蛤」の産地で有名ですが、大型の殻は高級な白の碁石の材料になるそうです。また、「蛤」の殻は縄文時代の貝塚からも多く発見されており、歴史的にも日本人にとって貴重な食料だったことが分ります。
私は「蛤の潮汁」が大好きです。さっぱりした塩味と潮の風味、つるりと滑らかな食感。早春の季節感にぴったりの爽やかな旨味です。「蛤」の主な旨味成分は昆布と同じグルタミンというアミノ酸や貝類特有のコハク酸だとか。旨いわけです。「蛤の潮汁」は調理に少しのだし昆布、酒、醤油を加えるものの、旨味の本質は閉じられた貝殻の中身。縄文の昔から、大切なタンパク源としてだけでなく、旨いご馳走としても人々に支持されていたんじゃないかと思うと、なんだか楽しくなります。
桃の節句の時期になると、我が家ではいつの間にかいろいろな雛人形が家の中のスペースを占領します。この期間、玄関ではニタリと笑っている猫のお雛様から帰宅の挨拶を受けることになるのです。まあ、自分の趣味かどうかは別にして、微笑ましいからそれも悪くはありません。しかし、気になるのは「蛤」のことばかり。「すべすべの美味しさ」には伝承かめ壷造り本格米焼酎「昔気質」の優しい甘みが似合います。雛祭りが終わっても、私の「蛤祭り」はしばらく続くことになるでしょう。旬の味覚に深く感謝!