スリの手口
No.597/ 2024年4月11日配信
今から40年ほど前に大型リュックと地球の歩き方を持って、ヨーロッパをユーレイルパスで鉄道利用の旅をしていました。イタリアのミラノ駅に着いて、駅近の喫茶レストランのような店に寄りました。ヨーロッパの街角でよくみかける、屋外テラスにテーブルを出している店です。大きいバックパッカー用のリュックをテーブルの下に下ろして、腰を下ろしました。
ところが、どこから湧き出てきたのか、男女の子供が数人であっという間に私の方に近づいてきました。「ブルース・リー?」とか言いながら私を取り囲みます。俺、ブルース・リーに似てるかな。気分はまんざらでもありません。一人の子が新聞紙を広げて、私の視界を遮ります。それを合図に、他の子の手がテーブルの下のリュックに触れようとしました。
現在でもヨーロッパの観光地では相変わらずスリや置き引きなどの被害に遭う観光客が多いそうです。保険比較サイト『クオートゾーン』が去年(2023年)のヨーロッパのスリ指数を発表しました。観光国として魅力いっぱいのイタリアが第一位で、観光客100万人当たり、463件のスリが発生したそうです。やっぱりミラノのドゥオーモも注意が必要だとのこと。
私のリュックに手を伸ばしていた子の手首を掴んで睨みつけました。日本人の観光者は特に気をつけるようにと、地球の歩き方には書いてありました。一日費用、10ドルの貧乏旅行なので、もちろんスリに優しくできる訳などありません。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を飲む夜、イタリアを思い出します。気をつけないといけないほど、スリリングで楽しい国でした。