思いやりもつ鍋
No.589 / 2024年1月21日配信
生まれが北部九州の旧産炭地ということもあり、その地元で食べられていた「ホルモン料理」には抵抗がありません。焼肉屋で牛肉より先に、腸を美味しい美味しいといって口にかき込む姿を見て、家人の目には大きな疑問符。育った食環境が違うと、それぞれの嗜好も変わって当然ですが、内臓を食べることに高いハードルを感じる人は結構多いのかもしれません。
「もつ」の白くて柔らかな脂肪を見ただけで拒否反応が起こす人がいるのもわかります。もつではありませんが、私も中学生の頃まで、鶏の水炊きに入っていた「鶏のぶつ切り」の皮のぶつぶつ(羽を抜いた跡)が大嫌いでしたから。その皮のブニョブニョ感たるやブツブツ感と相まり、もう絶望的でした。克服にはかなりの時間を要し、大人になるまでかかりました。
さて、我が家では皆が抵抗するもつ鍋ですが、なんとか食卓に載せたい私。そこで一計、家庭内プレゼンテーションです。牛もつのカロリーは思ったより低く、日本食品標準成分表の比較では、和牛かたロースの380Kcal(100g当たり)に対して、牛小腸はなんと268Kcal。牛もつの脂に多く含まれるコラーゲンはタンパク質の一種で、皮膚・毛髪・骨には欠かせない成分だということ。
それでも納得してくれない我が家の女性群。豚肉も一緒に用意するので「君たちは豚肉を食べれば」と、頭を捻ってもつと豚肉のコラボ鍋に辿り着きました。途中、もつのひとかけらを口に運ばせることに成功(作戦通り、ふふっ)。「そんなに悪い味ではないわね」。ただの食わず嫌いじゃないか、それ。一緒に伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」もススメました。