ブルーチーズ

No.564 / 2023年5月11日配信

 冷蔵庫に入っている「オレンジ色」をした硬いプロセスチーズを初めて齧った子供の頃。とても不味かった記憶があります。こんな石鹸のようなものが美味しいなんて、大人の舌はおかしいんじゃないか? どうしてこんなものをと、思わず吐き出しそうになったのを思い出します。嫌いなものが多かった幼い頃の記憶の中でも、その不味さではトマトジュースと双璧をなすものでした。

 子供の舌は経験したことのない複雑な味に対しては、大人のようにうまく理解を示せません。その人間の舌ですが、表面にある味蕾(みらい)で味を受け止めるというメカニズムです。味蕾は舌だけで約6,000個あり、その細胞自体は2週間もしないうちに寿命を迎え、新しい味蕾細胞へと変わるのだとか。しかし細胞は入れ替わっても、嗜好は変わるどころか受け継がれるから不思議です。

 大人になりチーズに抵抗がなくなった私ですが、湿った青カビが混じったタイプのチーズだけには手が伸びませんでした。しかしある時、会社の先輩に勧められて(強制的?)に初体験。なんとなんと、少し苦味も感じるカビがチーズのまろやかな味に加わり、独特の旨味に。この時すでに私の舌は子供時代と違って、複雑な味覚をも受け入れられる舌へと成長を遂げていたのです。

 今が旬のグリーン・アスパラガスが手に入りました。オリーブオイルを垂らしたフライパンで強火で焼いた後、塩と黒胡椒。その上に5ミリ角にカットした20粒くらいのブルーチーズをトッピング。これがまたうまいのなんの。冷たい氷を浮かべた伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」をやりながら食べると、もう夢心地。私の舌の味覚は、今もどんどん成長しているのです。ふふっ。

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