虎の威
No.515 / 2022年1月1日配信
虎に捕まった狐は一計を案じました。「天帝から百獣の王に任命された私を食べたらいけません。それを嘘だと思うなら、私についてきてください、強さが分かりますから。私を食べることのは天帝の命令に背くことなのです」と訴えました。虎は狐を食べるのを中断し、言われたように後をついていきました。すると、動物たちは狐の方を見ては逃げ出し、虎は狐の言ったことを信じるように。
虎はみんなが逃げるのは、後ろを歩く自分を恐れてのことだと気が付かなかったのです。中国の戦国時代にまとめられた書物の中にある「虎の威を借りる狐」の話では、「能力のないものが権力者の力をかさにして威張ったりすること」は、世の中を生き抜く上では、むしろ知恵として必要だということも示しているのではないでしょうか。イメージ的に狐は少し損な役回りとなっていますが。
仕事が片付いた晴れた夕方には、海岸沿いの遊歩道までよくウォーキングに出かけます。自分では相当歩いているつもりでも、6,000歩そこそこの歩数なので誇れません。そこには管理された地域猫が住んでいて、20匹近くいます。餌やりの人も多く、挨拶したり、立ち話をする人も増えてきました。今では野生する薬草の話や地域の歴史話など、面白い話も聞かせてもらえるようになりました。
そんな虎の威を借りる必要のない実力の持ち主たちとの交流が楽しくなりました。昔、やたらと社名を口にする有名企業の営業マンがいて閉口したものですが、今の肩書きのない交流にはそんな苦労もありません。私が伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」の美味さを話すと、早速「酒の達人」だと持ち上げられてしまいました。鼻高々の私にとって「幸蔵」は「虎の威」以上に強力かもしれません。