夏の終わり

No.502 / 2021年8月21日配信

 松林に接している元寇防塁(げんこうぼうるい)跡の遊歩道が夕陽に照らされています。「ふぅっ、暑いですね。昔だったら、もうこんな時間は凌ぎやすくなっていたのに」。この場所で知り合った男性に声をかけるのが毎夕の日課になりました。毎日、自転車で訪れるその70台男性を私は「自転車おじさん」と呼んでいますが、その自転車のカゴには猫用の餌や水が入ったペットボトルが入っています。

 「太陽光が強くて暑いので、猫は岩陰か松林の中でまだひっくり返っていますよ」と言いながらも、その男性が小声で猫たちを呼ぶと、すぐに背伸びをしながら猫たちが姿を現します。中には、足音を聞くだけで勢いよく飛び出してくる猫も。白黒猫、黒猫、三毛猫、そしてキジ猫と色々な猫たちが近寄ってきては、男性の足元に顔をすりすり。自転車おじさんも目を細めて楽しそうです。

 隣接している松林は「生の松原」と呼ばれ、白い砂が広がる浜につながっています。松林には九州大学の職員宿舎があり、さまざまな国の人たちが住んでいますが、家族揃って泳いだり、水遊びをしたりと夏の夕刻を楽しんでいます。私もフランス人やバングラディッシュの先生とも顔見知りとなり、挨拶を交わすようになりました。色々な猫と外国人、そして猫を可愛がる人たち…。晩夏の夕暮れ。

 いつも挨拶をしてくれる金髪の小さな女の子に猫の餌を分けてあげると、キャッ、キャッと楽しい声をあげながら猫に餌を食べさせていました。「キャッツ、キャッツなんて、やっぱり日本人じゃないよね」と、隣を歩く家人に声をかけました。家人からは良い反応など返ってこないし、さあ、もう帰ってシャワー浴びなくては。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」との時間が待っていますから。

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