芒種(ぼうしゅ)
No.494 / 2021年6月1日配信
九州における平年の梅雨入りは南部で5月31日ごろ、北部はもう少し遅くて6月5日ごろでした。5月は晴れの日が多くて、6月に入ると1週間くらい後に梅雨突入という季節感覚でしたが、今年は完全に裏をかかれてしまいました。なんと九州南部は5月11日に梅雨入りが発表され、それは平年より19日も早いものです。そして九州北部の梅雨入りも、びっくりの5月の15日でした。
二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」は北部九州の入梅時期にも重なる6月5日。芒(のぎ:稲などの穂先の細い突起)を持った植物の種を蒔く頃だとされていますが、今年のように降雨時期が3週間も早まる場合は困ってしまいます。もう「昔の芒種では」と一言書き加える必要性が出てきたのではないのでしょうか。それはともかく、洗濯物が乾かない季節が一足早くやってきたのも、もう一つの事実です。
この季節に思い出すのが、少年の頃の「洗濯物の取り込み」における失敗談。急な雨に、干していた裏庭の洗濯物を軒下に移動させることになりました。よせばいいのに、母について行った私は手伝うと言い張り、まだ半乾きの洗濯物を泥の上に落としてしまったのです。汚したのは母が一番気に入っていた半袖のブラウスでした。私は覚悟しました。しかし母は怒りませんでした。
雨の季節はすっきりと乾かない衣類に家人も苦労しています。私といえば「雨が降ったら取り込んでいてね」という頼まれごとを忘れて、洗濯物を濡らしたりと情けない毎日。梅雨時期の失敗話には事欠かない私ですが、その度に、母親の「前向きな失敗を怒らなかった」子育てを思い出します。芒種の時期の母の思い出とともに、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を一杯。何故かシャキッとします。