能古島の片想い

No.491 / 2021年5月1日配信

 昔、井上陽水さんがリリースした二枚目のアルバム「陽水II センチメンタル」に入っていた曲に「能古島の片想い」があります。とてもいい曲ですが、シングルヒットしたわけではないし、このアルバムを知らない人には馴染みがない曲だし、そのタイトルになった「能古島(のこのしま)」となると、もうこれはローカルすぎる島なので、知名度もほとんどないんじゃないかと思います。

 学生時代、九州から遠く離れた学生アパートで能古島の片想いを聴きながら、センチになりすぎて眠れない夜を過ごしたことを思い出します。恋する若者(片想いの少年?)の心情が表現された歌詞には能古島という名前こそ見当たりませんが、私にとっては望郷の想いも加わり、本当に悩ましい曲でした。しかし、なんという人生の不思議、今、その能古島の見える対岸に住んでいるのです。

 能古島は福岡市西区の渡船場からフェリーで10分、博多湾の真ん中に浮かぶ周囲12キロの小さな島です。私は恒例で年に2、3回ほど、運動不足解消もかねて島に渡り、約1万8千歩の「歩き」を楽しみます。島を一周する人は多くなく、木漏れ日を顔に浴びながら歩くとストレスも吹き飛びます。桜の時期があまりに早すぎて、今年は春の島歩きのチャンスを逃してしまい、とても残念です。

 街の中での密集を避けようと、家人とその女友達は旦那そっちのけで、低山登山に出かけようとしています。よし、それならば私は私で初夏のロマンチック能古島への片想いをはたしに行こう。桜の季節を逃したことだし、ちょうどいい機会だ。ふふっ、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」が入ったスキットルをリュックに忍ばせてね。能古島のアサリ貝でも買って帰ろうかな、それも楽しみです。

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