チック・コリア

No.486 / 2021年3月11日配信

 ずいぶん前のことですが、一緒に仕事をしていたカメラマンの兄弟の特に弟さんがジャズピアニストのチック・コリアに似ていたので二人を「魂の兄弟」と呼んでいたことを思い出しました。しかし、なぜ「魂」だったのだろうと思い返しても全く思い出せません。仕方がないのでとりあえずチック・コリアの1972年に発表された「リターン・トゥ・フォーエバー」のCDを探し出し、聴いています。

 チック・コリアの音楽は正統的ジャズからフリージャズに進み、さらにこのアルバムでは感情に入りやすい「サラッとした」馴染みやすい音楽に変わっています。生ピアノではない「電子音」はそのタイトルの「原点(普遍)回帰」に沿うように、先鋭的でありながらも「わかりやすい音楽」を目指したのでしょう。一方、ジャズの対岸でもゴリゴリのロックが優しくフュージョン化していきます。

 ベトナム戦争末期のアメリカの反戦「ラブ&ピース」の社会風潮の中、人間としての美しい生き方にシンクロしたものは少なくありません。勝手な想像ですが、チック・コリアはもっと美しくあるため、楽しくなるために、「難解ではない音楽的主張」をしたのかもしれません。しかし、そこから現在に至るまでのチック・コリアの道のりは、残念ながらあまり詳しくは把握できていません。

 誰だってその日が来れば命を落とします。ただ、それまでにどれだけ自分らしく主張ができたかどうかです。先日、チック・コリアが新しいタイプのがんで亡くなりました。音楽史にしっかりした足跡を残しながら…ただ彼にはその足跡こそが楽しくあろうとする「魂」だったはず。一方、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」も「原点回帰」の美味しい魂。さあ、今夜は音楽との魂のコラボです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です