菜の花焼き
No.480 / 2021年1月11日配信
正月の過剰な飲食で疲れたお腹を休ませようと、「七草がゆ」の習慣をあみだした人たちはなんと賢いことでしょうか。野菜が乏しい冬の時期に不足しがちな栄養素を補給できるようにとの配慮も読み取れますし…。毎年、1月7日の朝には春の七草を刻んで入れたお粥を家人が用意してくれます。暖かいおかゆと七草のほんのり青臭い苦味が優しく口を潤わせる嬉しい朝。
「酸いも甘いも噛み分けて」などと、冗談でも言えない私の甘ちゃん人生ではありますが、近年はこの野菜が持つ苦味に少しずつハマり始めてきました。「食べる人」から「味わう人」に変われるステップアップのチャンスかも。去年、春のはじめのフキノトウから始まった苦味を味わう旅は、初夏のピーマン、ゴーヤと続き、この1月も菜の花へと旬をリレーしながら続きます。
冬眠から覚めたクマが最初に味わうのが、苦いフキノトウのような山菜だと聞いたことがあります。人間だって動物です。冬に溜まったものをデトックスするために「苦味のある植物」が必要なのかもしれません。そこでおすすめなのがお手軽な「菜の花焼き」。オリーブオイルを敷いたフライパンに広げた菜の花の塊を焦げ目がつくまでじっと焼きます。
あとは塩、黒胡椒、すり下ろしたパルミジャーノ・レッジーナをふりかけて出来上がり。肉や魚のようにメインを張れる料理じゃありませんが、特にお酒を愛する人には嬉しい一皿になること間違いありません。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」との相性は言うまでもありませんし、河川敷を黄色く染める菜の花の春がくるまでに何度か楽しみたいと思います。