奈 良 漬

No.476 / 2020年12月1日配信

 お歳暮で奈良漬をいただきました。家の中で奈良漬の「塊」を見たのが久しぶりだったので、情けない話ですが、妙に気持ちが昂ってしまいました。それもそのはず、伝統のある奈良漬の専門店でつくられたもののようで、包装を解くと、予想以上に色の濃い年季が入った奈良漬が現れたからです。長く漬けられたものに漂う本物の香気がすぐに鼻を幸せにしてくれました。

 昔の食卓シーンが蘇ってきます。幼年時代の思い出は縁が赤く色づけされた鯨のベーコン、そしてたまに食べる奈良漬。漬物は白菜漬け、高菜漬け、そして派手な黄色の沢庵が主流でしたが、それよりも奈良漬に含まれるアルコールの風味はすでに私の小さい舌を虜にしてしまっていたようです。父は「お前、このまま飲助になったらいかんばい」と笑いました。

 この和食に欠かせない奈良漬は平安時代前から高級食として利用されていたともいわれます。保存食としての価値も高い「発酵食品」なので、もうこれは日本の宝そのもの。奈良漬に含まれるポリフェノールには免疫力を高めるなどの健康効果があると言われますし、今年のインフルエンザや新型コロナのウィルスの体内侵入の障壁になってくれたら最高です。

 甘くしょっぱい、濃厚な味わいの奈良漬は伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」との相性もぴったりです。ついつい、焼酎カップ片手に何度も奈良漬を口に運んでしまいました。「お父さん、ご飯と食べたら美味しいのに、私たちの分がなくなってしまうじゃないの」と娘がむくれます。えっ、お前は洋食派じゃなかったっけ?とイヤミが炸裂。ダメなおやじでした、反省。

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