ブルックス・ブラザーズ
No.465 / 2020年8月11日配信
高校時代に先輩のアイビールックに憧れたものの、ボタンダウンのシャツは親から買ってもらえなくて腐っていました。ただ、学生ズボンの広い幅だけは許せず、裾を狭めたものを履いて通学していました。母親のいない時にミシンに座ってズボンを細目に加工していたなんて、面倒くさがり屋の私をゆり動かしたものの凄さに、今更ながら驚いてしまいます。
社会人になって自分でスーツや革靴を買うようになると、トラッドファッションに身を置き、一丁前に自分のスタイルを固めていきました。石津謙介さんのファッション哲学に支えられ、J.プレス、VAN、リーガルなど、買える範囲のブランドを取り入れました。右肘がすり切れたニューヨーカーのツイードジャケットは今も捨てきれず、クローゼットに残っています。
サラリーマンである私の給料ではそんなに贅沢できるわけもなく、百貨店内のブルックス・ブラザーズはやはり敷居が高いブランドでした。クリスマス前に、思い切ってチャコールグレーのスラックスを購入したのを思い出します。ブルックス・ブラザーズは米の金融街、ウォール・ストリートのビジネスマンを飾ってきたファッションブランドでしたが、ついに破綻、少し残念。
トラッド・ファッションのトラッドは「トラディショナル」の略。その意味である「伝統的な」を背骨にしてファッションを考えてきたので、もちろんファッション以外でも流行に流されない姿勢のモノには共感が持てます。重要なのは永く愛せるものかどうか。もちろん伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を毎晩頑固に飲み続けていることも、その流れで説明がつきます。