春わかめ
No.449 / 2020年3月1日配信
わかめは豆腐、油揚と人気を争う我が家の味噌汁の具。わかめの味噌汁は幼い頃から馴染みすぎているせいか、わかめの味に「美味いなー」と今さら心が昂ることもありません。もう、わかめはすでに好き・嫌いを超越した「空気のような」存在に昇華しているのです。それでも、なぜか「春わかめ」が店頭に並ぶ季節が来ると、ワクワクし始めるから不思議なものです。
先日も漁協が運営している直売所に刺身を買おうと出向いたところ、生わかめのパックがたくさん並んでいました。白い発泡スチロールのトレーに、無造作に詰められている生わかめは黒々としています。トレーパックには「新わかめ」や「春わかめ」など、漁業者による販促シールが貼られていて、私は一瞬でその演出の餌食に。量は多すぎるけど、え?い買ってしまえ!
「あら、刺身を買うって出かけたのに、わかめになったの」と家人は当てが外れた様子です。「ふふっ、ガッカリしなくても大丈夫だよ」と刺身のパックも取り出しました。やはりきちんと活き締め処理された刺身は食卓の華で、もちろん主役です。わかめの吸い物や酢の物はその主役を引き立てる渋い脇役。「和食劇場」では助演女優賞が確実でしょう。
生わかめを熱湯に入れればパッときれいな緑色に変わります。緑色のイメージは「安全」「新鮮」「癒し」で、誰の食欲にもきっと影響を与えるはず。きれいな緑をそのままポン酢で食べても美味しそうです。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」に「旬の味覚」が加わればもう最強ということで、ヒラメの薄造りと春わかめ。さあ、おいしい春のスタートです。