つみれ鍋
No.445 / 2020年1月21日配信
小学生の頃、鶏の水炊きの中の「毛を抜かれた後のぷつぷつとした鶏皮」が嫌で、鍋の中の鶏団子を中心に箸を伸ばしていた記憶があります。そのふっくら柔らかな鶏のつみれは、生姜の味がアクセントになって、酢と醤油を合わせただけの単調なポン酢でも、美味しく感じたものです。牛肉などは夢の夢、もっぱらつみれ鍋が我が家の定番の「鍋料理」でした。
つみれのほとんどは鶏のひき肉が材料でしたが、時々、色黒でジャリジャリ感が残る「イワシのつみれ」の鍋も登場しました。舌の味蕾が成長していないに子供にとっては、舌触りもスムーズではないイワシのつみれは相当に難しい食べ物だったはずです。いくら「栄養があるから」と母に迫られても、進んで好きになれるはずもありませんでした。
先日、近所のスーパーの魚売り場に魚のすり身団子があったので、ついつい買い込んでしまいました。白い色と黒い色のすり身団子です。白い団子はエソを主にしたすり身で、黒い団子はもちろんイワシが主原料でした。「お父さんにはやっぱりイワシのすり身よね。DHAやEPAが脳にいいらしいから。だって、最近特に『あの』とか『あれ』とか多くなってない?」。
脳機能の劣化を指摘されると反発したくもなりますが、ここは大人だからぐっと飲み込んで、イワシのつみれをパクリ。けっして娘からの指図で食べるわけではありません。昔、美味しさが感じられなかった「イワシのつみれ」も、すでに好物のひとつになっています。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」と「つみれ鍋」で幸せな夜。1月20日は大寒、一年で一番寒い頃。