誰のために
No.444 / 2020年1月11日配信
非政府組織「ペシャワール会」現地代表の医師中村哲さんが凶弾に倒れ、大きなショックを受けたのは昨年12月4日でした。銃撃事件の速報に驚き、それ以降、テレビやネットのニュースから離れることができませんでした。少し前にも、彼の出生地の地元紙である西日本新聞の寄稿連載文「アフガンの地で」から、その志に深い感銘を受けたばかりだったのに。
小さな身体ながら現地に馴染んでいる風貌、しっかりした存在感。医師なのに用水路建設のために重機を運転している、その頼もしい姿。医療支援活動だけでは多くの命は守れないと、貧困の根源的な問題解決を目指し、活動の先頭に立っておられたのが中村哲医師でした。そんな中村哲さんの棺を先頭で抱えていたアフガニスタンの大統領の表情がとても印象的でした。
ちょうどその頃、私は入社以来の長い付き合いだった先輩を亡くしたばかりでした。人間が忘れてはいけないものが何かを教えてくれた人でした。依頼された仕事は得意先のためのものではあるけど、最終的にその先の消費者のために役立つものでなくてはならないんだ。解決策のコンセプト作りはそこの視点が重要。大切なのは消費者の心にまで届く提案かどうかだよね、と。
中村哲さんは一貫して弱い立場の人々のために命を燃やされました。誰のために仕事をするかがブレるといい結果は間違いなく訪れません。中村哲さんのようにスケールは大きくありませんが、先輩も私にとってはけがえの無い尊敬できる人間でした。この2ヶ月、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」はそんな私をいつも穏やかな味で励ましてくれました。幸蔵にも感謝です。