伊能忠敬
No.432 / 2019年9月11日配信
振り返ってみると、何かに取り組もうとする時点で「もう、遅いのではないか?」とブレーキをかけることが多かったようです。親から突かれて受験勉強を始めた時、好きな女性に告白しようと思っていた時期はもちろん、ギターのコードを覚えようとした頃も。「これから始めても、もう遅いよ」との後ろ向きな内なる声に諦めてしまったことが何度でも。
「いや、遅くはないさ」と教えてくれるのが「4千万歩の男」で知られる伊能忠敬です。老年期になり、家督を息子に譲り、天文学を学ぶなど第2の人生を積極的に生き、幕府にも認められて日本全国を測量してしまうという、凡人には予想もつかない快挙を成し遂げてしまいます。国内を10次にもわたり、ほぼ歩いて測量し、大日本沿海輿地全図の完成に寄与しました。
伊能忠敬の隠居時が50歳といわれていますが、江戸時代の1,800年当時は今と違って、50歳はもう老年期なのではないでしょうか。そして全国測量スタートは56歳。測量の最後の方になる九州測量時は65才からの2年間です。最後はさすがに疲れたようですが、全測量距離はおよそ3万5千キロメートルともいわれます。ちなみに地球の円周が約4万キロメートルです。
一体、測量日は1日当たりどのくらい歩いたのでしょうか。あまり歩かない私にとっては、恐らくは目眩がしそうなくらいの数字なのでしょう。しかし、今からでも遅くないから、健康のために1日せめて8千歩を目指すべきかもしれません。9月の敬老の日は伊能忠敬の記憶が蘇ります。背筋をぴっと伸ばしながら、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を飲む初秋です。