長い夜

No.113 / 2010年11月11日配信

 シカゴという有名だったグループの曲に「長い夜」があり、日本の有名だったシンガーソングライターも「長い夜」を歌っていました。秋分の日以来、一日一日と長くなる夜の時間。数学の教科書より、好きな女生徒を想いながら窓の外を眺めていた時間のほうが長かった高校時代の秋の夜。一日千秋の想いがこもった片思い的「長い夜」とはもう縁が切れましたが、秋の夜長は今でも大好きです。

 ヘレン・メリルにしようかサラ・ボーンにしようか少し迷った後、ニューヨークのため息のヘレンを選択。ドント・イクスプレインという曲が人生を教えてくれるように私を包み、ゆっくりと流れていく秋の夜長。朝の通勤ラッシュや職場の喧噪、上手くいかない新企画のことは消し去られ、一人の時間が何とも言えない優しさに包まれていきます。

 私は図書館から借りてきたばかりの「勇気の季節(ロバート・B・パーカー)/早川書房」のページをめくります。ボクシングを教わっている少年のまなざしで「愛や勇気」を描いた小説で、今年急に亡くなったパーカー最期の時期より少し前に書かれたと言われています。少年とその黒人トレーナーとの交流が「初秋」というスペンサーシリーズの名作を想い出させます。

 トレーナーが少年に対して「お前にボクシングを教えているのは良いボクサーにするためじゃない」と言います。そういえば、そういうことを言ってくれるコーチやボス・上司が少なくなってきたなと、自分を振り返って苦笑い。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」のキャップを緩める秋の夜長。ジャズボーカルと勇気を描いた本、そして旨い幸蔵。長い夜、バンザイ!最高です。

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