ディア・ハンター
No.416 / 2019年4月1日配信
米国と北朝鮮の首脳が2月末にハノイで会談しましたが、平和への道筋は簡単にはつかないようです。ハノイといえば、私の受験勉強時代は北ベトナムの首都でしたが、その頃は毎日のようにベトナム戦争のニュースが紙面を賑わしていました。戦争終結後も報道カメラマンの沢田教一さんの行動を綴った「ライカでグッドバイ」などから刺激を受けたものです。
「ディア・ハンター」観たことはありますか?顔を上げると、よく顔を見せる地方銀行の営業マンが机のそばに立っていました。当時はヤクルトのおばさんはもちろん、生保レディ達の勤務時間中の職場出入も問題視されなかった、おおらかな時代でした。その銀行員は自社の定期預金の有利さを説く前に、「絶対観た方がいいですよ」とまずは映画を強く推したのです。
早速、週末の独身アパートの部屋で、借りてきたVHSビデオテープを回しました。ベトナム戦争の狂気の中、仲間との友情を描いた映画でした。捕虜になったロバート・デニーロたちがロシアンルーレットをやらされるシーンではとんでもない恐怖感に襲われました。ストーリーの展開は最後まで重く、その夜なかなか寝付けなかったことを思い出します。
それは昭和の時代のことでした。大きなイデオロギーが衝突する世界の中で私たちは生きてきました。立ち位置は違っていても、みんな自国のために懸命に(あるいは愚かに)戦っていたのですが、そんな争いは決して人々を幸せにしないことを映画は語っていました。今夜は伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」のカップを傾けて、久しぶりに「幸せとは?」を考えてみます。