マグロの「買いたい」ショー
No.417 / 2019年4月11日配信
私の入社時の話ですが、歓迎会は思ったより盛大で、刺身の中にはマグロの赤身も当然ありました。隣に座った新入社員が刺身嫌いということで、私のエビフライとその刺身を交換することになり、刺身好きの私はニンマリ。しかし、最初に手をつけたクチャっとした「マグロ」の刺身に「後悔」の二文字を味わってしまいました。以後、マグロの美味しさを知らない日々が…。
しかし時代は進み、回転寿司のチェーン店展開が良い機会を与えてくれ、悲惨だった私のマグロの負の記憶も大きく塗り替えられたのです。頑固な白身魚ファンだった私も、いつしか赤身の魚も受け入れてしまい、昨年末は自分にご褒美として珍しく「大トロ」を購入し、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」で乾杯したほどです。そんな私の目の前にスーパーのチラシが。
「マグロの解体ショー」の開催が土曜日だということもあり、出かけてみました。私の体重より重そうな本マグロが大きな調理板の上に横たわっていました。それを日本刀のような長い包丁で手際よく解体していくのですが、珍しくもあり楽しい時間でした。そしてすぐに解体後のセール。せっかくだからと、またもや奮発して「大トロ」を買い込んだのです。
これを持って帰れば、家人たちも大喜びするだろうと急いで帰りました。「あら、お父さん、買いたいショーにひっかかったのね」と、娘が頭にくるような悪い冗談を言うではありませんか。どうしてこんなに自分に似た性格に育ってしまったんだろうと、とても複雑な気分です。が、ここは私も大人です。苦々しさを噛み殺して「一緒に食べるか?これ、好きだったよな」。