朧(おぼろ)月夜

No.381 / 2018年4月11日配信

 街の四月はフレッシュマンのきりっとした姿も多く、見ているだけでもそれなりにリフレッシュできそうです。先日は駅の階段で、一段飛ばしの大股歩きで登っていたら、一段登りの黒い細身のスーツ姿の若い男性に簡単に抜かれてしまいました。横断歩道で急ぎ足なのに、前を歩くゆっくりとした足どりの若い女性に追いつけません。悔しいけれど、新しい人達にはかないません。

 残業で遅くなった帰り道。通勤ラッシュのような歩き方を強要される事はありません。ゆっくりと歩きながら視線を上げると、中空には大きめな月。なんだかうっすらとモヤがかかっているような黄色です。眼鏡を掛けないでTVを見るようなもどかしさを感じながらも、視覚的な緩さにはそれ以上の心地良さがあることも発見。これ、もしや朧月夜では?

 そういえば朧月夜は唱歌にもありました。小学生の頃、「菜の花ばたけに入り日薄れ、見わたす山の端(は)霞ふかし…」とか、歌ったことがあるような記憶が。当時は風がぬるんで気持ちよくなることくらいは幼い子供でも分かりましたが、春霞や朧月夜がもたらす情緒的側面までは思いが及ぶはずもありません。歌詞の理解も見たままのものでした。

 「春霞の原因はゴビ砂漠の黄砂やPM2.5だってよ」と言った娘の言葉を思いだします。朧月夜の唱歌が出来上がったのが大正時代だから、さすがに昔はPM2.5はないはずです。まあ、いいじゃないか、と伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」が手招きをしています。朧月夜くらいは緩く、気持ち良く過ごすに限ります。「えっ、毎晩のくせに」と家人の声が聞こえそうな春の夜です。

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