秋のお彼岸

No.179 / 2012年9月11日配信

 暑さ寒さも彼岸まで、といわれ、このフレーズは天気予報のキャスターがお彼岸の時季によく使います。「しかし、依然残暑が厳しく、昼間は……」と歯切れが悪い状況。この時季を境に、一年で一番過ごしやすい日々がやって来るはずなのに、近年は地球温暖化現象で涼しくなるのも遅れ気味。私も夏物の衣類を仕舞うのが1ヶ月先になることでしょう。

 秋のお彼岸の中日が「秋分の日」で、ほぼ昼と夜の長さが同じになる日です。ということは、限りなく太陽が真東から昇り、真西に沈むことに他なりません。夕日が沈む先、「西」に極楽浄土があるとされるので、特にお彼岸の時季が大切にされるのでしょう。常識のない私にも、母を亡くしてはじめて、秋分の日がただの休日だった日から、少しは意味のある日に思えてきました。

 記憶が甦ってきます。「お母さん、おはぎはいつ作るの?」と兄が母に尋ねます。尋ねるというより、むしろ急かすようにお願いしています。おはぎが大好きな私も、同じように母の脚にまとわりついていたはずです。お彼岸がやってくると母はおばあさんから教えてもらったという「おはぎ」を作り、仏壇に供えました。そして、私たち兄弟は意味も解らずにその甘いおはぎに群がっていました。

 「このおはぎ美味しいわね。何処で買ってきたの?」と娘が家人に訊いています。娘には過去何度か彼岸の意味や行事の由来をレクチャーしたものの、私もそうだったように、やっぱり食べ物だけにしか興味を示しません。恐らく娘は私がこの世を去るまで彼岸の意味を飲み込めないでしょう。血筋は争えません。苦笑いをかみ殺して伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』をゴクリ。まだ今夜もロックです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です